おしらせ

「第 28 回 全国優秀吟者吟道大会」競吟審査結果について

公益社団法人 日本詩吟学院
審査委員会

令和4年9月19日(月祝)東京・浅草公会堂において開催されました標記事業につきましては、コロナ感染対策により入場自粛等のご協力をいただき、また出吟者におかれましては台風14号の襲来も重なった中にもかかわらず、ご参加をいただき誠にありがとうございました。

事前にお知らせのとおり、大会当日は感染対策のため結果発表および表彰式を行わなかったため、ここに審査講評および各部門の結果を掲載いたします。

【審査講評(各部門共通)】
入賞者も含めて全体的に気になる点として、

登降壇も含め、吟詠時の姿勢が悪い吟者が散見される。手足の揺れ、首振り等。
吟題・作者を唱えてから吟じ出しまでが早い。吟じ出し前の呼吸が正しく行われていない。
二句三息がなされておらず吟詠にあたっての腹式呼吸が体得されているのか疑わしい。その結果、
吟詠の間の取り方が悪くなっている。間を取るべき部分が早く、入るべきでない部分に間が入る。
頭声・ファルセットの多用、ビブラート過多や鼻声など、基本的な発声に問題あり。
詩文の読みにおいては、いわゆる「ひろい読み」が目立つ。詩文の読み込み不足、アクセントへの
意識過剰が原因ではないかと思われる。
詩文の読みが疎かで、余韻の節回しとのバランスが取れていない。
緩急強弱の表現が乏しく、音階をなぞっているような単調な吟詠が多い。
課題吟からの選定に研究が欲しい。吟者特徴とのミスマッチが多い。
揺り止め、引き止め等、余韻の始末が疎かである。

以上に加えて、各部門で注意喚起したい点を以下に記載します。

【審査講評(独吟漢詩の部)】

特に字句をしっかり読まずに余韻に入っているものが目立つ。
余韻については、前項のとおりだが、とりわけ揺り止めがしっかり止まっていないもの、
いわゆる五言の落としが明確に落ちていないもの、引き止めが尻すぼみになっているものが散見される。
吟題作者と吟じ出しの音程バランスが取れていない。極端に高い出だしなど。
読み込み不足ゆえか字句の間で音が延びるものが多い。

【審査講評(独吟和歌の部)】

特に字句をしっかり読まずに余韻に入っているものが目立つ。
略吟符のとおりに詠じていないものあり。
詩文の読みも余韻の表現も、どちらかといえば漢詩調になっているものあり。
序詠と本詠の詠じ分け(緩急強弱・長短)の表現が出来ていない、あるいは理解されていない。

【審査講評(連吟の部)】

独吟漢詩の部の講評と同じ注意事項。
略吟符のとおりに吟じていないものあり。
首聯・頷聯・頸聯のリズムが悪い(流れがない)。
三人が各々いっぱいに出し切っているだけの組がほとんどである。
尾聯の合吟は合わせることにのみ終始しており、結果としてブツ切れになってしまっている。
とも併せて、律詩連吟ならではの掛け合いの妙味、緩急強弱の大きな流れが全く感じられないのは
極めて残念。

【審査講評(その他)】

今後の修練にあたっては、以上を参考にされたうえで、詩吟は「のど自慢」でも「節回し自慢」でもない
ことを再度認識していただき、お手許の『吟道奥義抄』をあらためて読解・実践されることを強く希望
します。
また、指導者におかれても、本記述を十分に理解のうえ、あくまでも「岳風正統吟」における競吟大会で
あることを認識された指導をお願いするところです。併せて、地区吟詠大会(地区競吟予選会)の審査に
あたられる役員の方々も、これらを心にとめて選考に従事していただくようお願いいたします。
場内の応援(聴衆)の方も、概ねマナーとルールを守っていただき感謝申し上げますが、大会後半になる
につれて一部に吟詠中の私語や雑音が発生してきたのは誠に遺憾です。
競吟大会にかかわらず、壇上の吟者と一体となって聴かせていただくという気持ちを常に持たれることも
吟の道を志す者の務めであると考えます。

以上

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